インナーウェイト工法について

はじめに

近年の大規模地震では,下水道マンホールが路上に浮上がり,下水道の流下機能の阻害ばかりか緊急輸送路の車両走行が妨げられる被害が多発しています。
このため,マンホールの浮上がり防止の技術開発・実施が急がれています。

しかし、防災上の重要度が高い幹線道路ほど車両交通量が多く,施工困難なケースが多いのが現状です。
『インナーウェイト工法』は,こうした点を踏まえ,施工の実施を実現することを最優先に考えた構造としました。

2012年6月に『土木学会技術評価証』を取得した工法です。

マンホール液状化による被害事例

貯水槽マンホールの突出(東北・浦安)

現場内1号マンホールの突出(東北・浦安)

現場内2号マンホールの突出(東北・浦安)

マンホール浮上防止工法《重量化工法》

インナーウェイト工法の特徴

  • 路面を掘削しない環境にやさしい工法
  • マンホール内部の重量化によりマンホールの浮上を防止

インナーウェイト工法の特徴

原理が単純

効果が確実

施工が容易

工事公害が少ない

  • 適用範囲は、既設・新設の組立マンホール及び現場打ちマンホール・角型・矩型・方円・楕円など、さまざまな形状に設置が可能です。
  • 適用内径は、インナーブロック設置後に750mm以上の既設・新設マンホール。
  • 過剰間隙水圧消散工法、重量工法、及びアンカー工法等で設計した際の、不足重量をインナーブロックで補完設置する事が可能です。(併用工法)
  • インナーブロック設置部は、密実な耐酸性裏込材を充填することによりコンクリートの劣化部を現状復帰を超える強度に復元します。

工法概要

1)重量化に用いるウェイトは、耐酸・耐アルカリの防食塗装を施した鋳鉄製(ねずみ鋳鉄、比重7.0~7.5)の小版(インナーブロック)です。
   小版は、廃品鉄材をリサイクルして使用します。

2)このインナーブロックは主に2つのタイプを用います。このほか、マンホールの内部状況に合わせ、いくつかのタイプも用意しました。

工法概要

①標準タイプ(プレート型・パズル型)

高さ10cm、幅50cm、重量約16kgの小版で、容易にマンホール内へ搬入できます。
これを左右に噛み合わせてマンホールの内壁面へ設置します。

施工後の点検等のため、1号マンホールで内径75cmを確保できる小版厚(5.0cm)・裏込め厚(約1.0cm)としています。

②インバート挿入タイプ

標準タイプをマンホールの内壁面へ設置するだけでは所定の重量に達しない場合は、補助手段 として、インバート内へインナーブロックを挿入します。

3)マンホールの内壁面に設置したインナーブロックは、背面の隙間に裏込め材(セメント系固化材)を充填して固定させます。
   用いるセメント系固化材は、水平方向に1G(約980gal)の地震力が作用してもインナーブロックが外れない強度を有しています。

機能・性能

機能

下水道協会規格(A-11)の円形0号から円形5号までの既設、新設の組立マンホールの浮上防止対策に使用できます。

浮上防止装置の設置により本来の組立マンホールの性能を損なうことはありません。

性能

マンホール内部を重量化する方法は、模型振動実験により、浮上防止に優れた効果があることを確認済みです。

(実験については中央大学理工学部 國生剛治教授(土質研究室)との共同研究によるものです。)

設計・施工性

設計(重量体の算出)

マンホールを重量化するという簡単な原理であり、マンホールの見掛け比重を液状化地盤の単位体積重量にほぼ等しくなるように重量化するだけです。

原理・設計が簡単なことは、下水道事業者、道路管理者、周辺の皆様にも理解が得られやすく、円滑な事業推進が可能になります。 

施工性

マンホールの内側だけで施工可能です。交通量の多い幹線道路、周辺埋設物が多い市街地の道路でも比較的容易に施工が可能です。

維持管理

埋設部の維持管理は通常は必要有りません。

図面・ソフトウェア

ソフトウェア

重量体算出専用設計支援ソフトウェア(現在開発中)の販売を予定しております。